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2012年3月8日 日本のチームを応援しなかった初めてのパターン

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※東北産ぶりーらむこまち

行ってきましたブリーラムまで ACL ブリーラム・ユナイテッド vs 柏レイソル観に。

急な展開で前日に現地入りする事になりましたが、なんとか夜中に辿り着き一泊。
翌日のゲーム当日昼過ぎにスタジアムに行きチケットを購入するためにブースに並びました。

そこで販売員の方は我々を日本人と観るや、何枚?と聞いてきました。(タイ語だけど)
3 枚と答え、無事ゲット。
チケットを確認すると、その時点でまだ販売が開始されてなかった、
アウェイ側のゴール裏になる事が判明しました。融通利かせて売ってくれた様です。

この時点で私は、基本的に全くの中立ポジションに立ってまして、
特にどちらのチームを応援するとかは無く、サッカーを観に来たというスタンスでした。
がしかし柏は仮にもお隣さん。不肖のマイチームの永遠のライバル(笑)。
まぁ、もはやライバルとも扱ってもらえないくらい今は引き離されている状態ですが、
それでもやっぱり心情的には柏を応援するには葛藤があります。
がしかし柏は日本のチーム。出場チームの活躍が今後の日本の出場枠にも影響を及ぼす以上、
ここは J リーグを代表して勝ち進んで頂かなくてはならないという側面も。
なのでどう転んでも中立ポジションでの観戦スタイルにならざるを得ないな、という感じでした。
従いましてアウェイ側の席のチケットを手にしましたが、
柏のコアサポーターが集う一画からは距離を置いて、
彼らの邪魔にならないように端っこの方でおとなしく観戦しようというスタンスが固まりました。
これが代表の試合だったら日本人として無条件に応援しますが、今回はクラブチームです。
無条件に日本だから応援するというわけでもない感じでして。
例えばバルセロナのサポーターがスペイン代表は応援しますけど、
レアルマドリーをチャンピオンズリーグで応援なんて絶対しませんし、
それどころか絶対的に負けろと思ってるわけです。
そこまでではないものの、つまりはそういう事なわけです。

そしてそれから市内へ戻り時間が来るまでブリーラムの微妙なモールで地方都市感を満喫し、
頃合いを見てスタジアムへ戻りました。

開場までの時間を、タイ人の子供とサッカーしたりして楽しみ、
さてそろそろ時間も時間だから、入場しましょうかと相成りました。

入場ゲートに近づき、自分のゲートを確認した瞬間に悪い予感が走りました。
該当するゲートは明らかに向かって一番左側のゲートで、
外から確認できたんですが、柏のコアサポーターはゴール裏の一番左端にまとめられてました。
つまり、柏サポの集まるブロックに席が指定されてしまっているんじゃないか、と。

そんな時の予感は基本全てまるっと当たるもの。柏サポのブロックにアサインされていました。

チケットには席の番号が印字されてはいましたが、まぁ所詮は自由席同然です。
それならそれで適当に距離を置いて、離れた所に座ればいいやと考えました。
がしかしそこが ACL 。柏サポが集められたブロックはその一番左に集約され、
そこから向こうはフェンスで区切られ通路も鍵を閉められ、完全に隔離されています。

それならそれで致し方ない。前方に集まっているサポーターから離れて座る為、
スタンドの上の方にあがっていきました。

がしかしここでまた問題が。
会場のスタジアムは非常に観やすいサッカー専用スタジアムではあるのですが、
いかんせんサポーターが持参するフラッグなどを張るスペースがありません。
そのせいでフラッグは全てスタンド上部に客席を覆うように張られてしまっています。
これだと大して彼らと距離を置いて座る事ができません。
どうしたものか。まぁ、仕方ないか。座れる限りの一番後ろに座るしかないか、と。

違和感を感じたのはそんな時でした。

前を向いたら柏のサポーターの多くがこちらを舐めるように凝視してきています。
それはもう、気持ち悪いくらいに舐め回すように足先から頭のてっぺんまでジロジロと。
その理由はただひとつ。同行者がブリーラムのユニフォームを記念に買って、
それを着用していたからです。
ちなみにそれを 「着ないの?」 と促したのは私なんですけどね、テヘペロ。

いくらアウェイ側とは言え、ある程度距離を置いて観られるはずだと思っていたのに、
まさかこんなゴリゴリのコアのど真ん中に放り込まれて、
尚かつそこから距離を置く事ができないとは想定外。

そんなコアなサポーターの位置取る所に、敵チームのユニを着て乗り込んだら、
まぁそりゃ刺激する事になりますわな。それは、しゃあない。
なんだか彼らをアテンドするタイ人に対しても、「あぁいう人は入れるなよ。」というクレームが、
我々の耳にも入るくらいの感じで言われていて、まぁ白い目、大顰蹙。

気持ちは察するに余りあるし、それは決まり事としても無しでしょう。
そんな感じになってしまうのもこちらも不本意ですし、正直多少こちらも気分悪いですし、
ならば他のブロックに移るのが得策かと考えました。

なので観客席から降りてコンコースに戻りました。
そこで柏サポのアテンドをしていると思われるタイ人の方がやってきて、
ブリーラムのユニフォームを着てる同行者に、柏のユニフォームを差し出し、
それを着て観戦する様に言われました。

事情はわかります。でもそこで私はスイッチが入ってしまいました。
なんで着替えなきゃいけないんだ、と。強制されなきゃいけないんだ、と。
まぁ、厳密に言うと当事者ではないというか、私が言われたわけではないんですが。

いやいや、なんで?どうして服を着替えさせられなきゃいけないの?
しかも柏のユニフォームを着るなんて、無理でしょ。
まぁ、着させられようとしてるのは私じゃないんですが。

そんなこんなしてると、コンコースの上の方から、良識のある柏サポの大人の方が、
「ユニフォーム交換しましょう。それで一緒に観戦しましょう。」と提案してきました。
いや、それは落としどころとしては、あなたの中ではアリかもしれないけど、
そういう問題じゃないんですよね。気持ちはありがたいんですが。
同行者も同行者で、ちょっとポイントがズレてるその提案に対しサクッと、
「いや、これ、お土産で買ったんで。」とお断り。
事態は次のステージへと移り始めました。

ただその段階で私は全くその状況を深刻に捉えてはいませんでした。
チケットが売り切れ・満員御礼状態なら深刻にもなりますが、
明らかにそうではないので、場所を移るくらい何の問題もないだろう、と。

そこでアテンドするタイ人と話をしている内に現れたセキュリティ担当者。
恰幅のいい、強面な警備員に事情を説明し、席を替えてもらう様に言いました。

当たり前のように通るかと思っていた事が、これがまた意外な方向に転がり始めました。
警備員の答えは、「ダメだ。認められない。」

意味がわかりません。確かにチケットに座席番号は指定されているものの、
サポーターの一画でそれを律儀に守っている人間なんていないし、
柵で遮断されている同じゴール裏スタンドの向こう側に我々が移った所で、
指定席が形骸化している現状で、何が問題でしょうか。何も問題なんてありゃしません。

ここはタイです。語弊なんて全く無いと確信した上でいいますが、
この手の問題で融通が利かない状況なんて皆無です。
それなのに警備員のこの対応。あまりに想定外だったので聞いてみると、

「これは AFC の指導・監査の元に行われている ACL の試合です。
 AFC の方から強く言われていて、きっちりとした運営を求められています。
 ですので、こういったケースも認められません。
 柏のユニフォームを着て、スタンドに戻って下さい。」

なるほど。そういう事ですね。クラブが AFC から厳しく言われていて、
グダグダな運営を認めないという事で、こんな末端までカチコチにしてしまってるわけですね。

だけどユニフォームを着替えさせてってのが納得いかない。
というか入る段階からそうだったんだけど、ペットボトルをコンコースで売ってるくせに、
観客席に持ち込みは禁止だし、カメラだってデジカメや携帯で撮影するのはいいけど、
イチデジみたいなでかいカメラは禁止、だとか、理由が分からない規制ばっかり。
じゃあいいよ、それは受け入れるけど、どうして?理由を説明して、と尋ねると、
私にも分かりません、との答えが返ってきたりで、つまりは運営自体が、
慣れない規制に振り回されている感じなわけです。
そこで更にユニフォームを着替えろという指示。
そんなの着替えりゃいいじゃん、って話ですよ、えぇ、そりゃ。
でもこちとらとっくにスイッチ入ってて、んなもん受け入れられるわけないんですよ。

柏アテンドのタイ人と警備員と私とでひたすら話込みはするんですが、
結局警備員が責任を負わされるという事で思考停止の「ダメ」ばかり。
それの堂々巡りです。
だって席は空いてるでしょ?そこに移るのに何の問題があるの?
同じ値段の席でしょ?同じカテゴリーで空いてる所に移るのがなんでダメなの?
と言っても、いや ACL だからの一点張り。
わかった。じゃあひとまず返品しよう。それでチケットを買い直せばいいでしょ?
と言っても、返品は出来るけど払い戻しは出来ない、なんて思った通りの杓子定規な返答。

いい加減ムカついてきたので、それなら売った側に問題があるだろう、と。
俺等が買った時に、何のアナウンスも無かったぞ、と。
これは柏のサポーターの席ですって言ってくれれば俺等も断れたよ、と。
別に俺等は柏のサポーターの席を要求したわけでもないし、
俺等も他に移動できない隔離された席だなんて思ってもみなかったよ、と。
そんな特別なタイプの席を何も言わずに出してきたわけで、それは説明が必要じゃないの?
こちらがこの席をくれって言ったんならまだしも、俺等はそんな事全然知らなかったし、
日本人だからって事で勝手に判断したのはそっちだろ、と。

なんて、刺殺事件は刃物を売った人間が悪いみたいなアフォ理論を振りかざしてみたら、
これがアテンドタイ人に結構効果があって、それまでは警備員がダメの一点張りで、
アテンドが私に諭すみたいな関係だったんですが、それ以降アテンドがこっち側につきました。
説明しなかったのは運営側の落ち度だから、あなた(警備員)はチケットを交換するように、
然るべき所に話を通し、協力しろ、という感じになってきました。
警備員はそれでだいぶ、こちらの言い分に理解を示し始めましたが、
それでもやっぱり責任問題になるので、既に売れたチケットの交換は出来ない、
と同じ所に戻ってしまいます。

それならばと、なぁ、あなたは警備員だろ、と。
いいよ?俺はこのままこの中に入って行って試合を観たって。受け入れますよ?
でもいいの?それで。問題になりますよ?
柏のサポーターは私達の顔を見てるし、ヘタすりゃ喧嘩になりますよ?
彼らが殴ってきたとして、そうなったら警備員としてのあなたの仕事柄、
チケットの変更とかよりも、よっぽど大きな責任問題に発展しますよ?
えぇ、いいですよ?全然。そんなにもあなたがダメだと言うなら受け入れますよ。
でもあなたにとってもっと面倒な事になるんじゃないですか?

と言ったら、さすがの思考停止中の彼も考え始めました。
ここぞとばかりたたみ掛けます。

あのですね、私達は別に問題を起こしたいわけじゃないんですよ。
あなたは私達に問題を起こさせたいんですか?
私達があなたの言うようにしたら、とても気分がすぐれない状態ですし、
それは柏のサポーターも同じです。
そして殴り合いになるかもしれない。
私達はそんな事をしたくは無くて、ただ問題無くスッキリ楽しみたいだけなんです。
つつがなく事を運びたいだけなんです。
それが私達だけではなく柏のサポーターにも、そしてあなた(警備員)の為でもあるんです。
どうしますか?私達を柏のサポーターの近くに座らせますか?

これでようやく山が動きました。警備員がゲートの向こうで当日券を売っている販売員に、
上司の連絡先を聞き連絡を取り、交渉してくれるようになりました。
その間同時進行で、仮にその当日券販売をしているテーブルに日本人がきて、
当日券を 3 枚以上求めてきたらその場で私達の分を売り、私達は改めて、
そこ以外のブロックの席を買い求める、という状態になりました。

結果 15 ~ 20 分くらい経ったでしょうか。連絡があり、要求が通った知らせを受けました。

私が代表して警備員と一緒に赴き、無事に代替のチケットを手にしました。
チケットを受け取り、警備員の彼に言いました。
「日本人だってブリーラムを応援してもいいわけでしょ?」
するとそこで強面の彼が初めて相好を崩し、「もちろんです。」と言います。
「これでやっとブリーラムを応援できるよ。」
そう言うと彼は、彼自身引っ掛かっていたであろう懸念が晴れた様な表情で笑いかけてきました。


すったもんだあった挙げ句、スタジアムに入った時にはもう試合が始まってました。

おかげで中立だったポジションも、柏を少しでもサポートする気も失せたので、
心置きなくブリーラムを応援する気持ちになりました。
100 % 全ブリーラム派で全力スタンスです。
結果、まさかのブリーラム 3 - 2 の勝利。
周りのタイ人とハイタッチしまくりで大盛り上がり。
全てはこの結果に繋がる課程だったと理解しました。

お陰様で行った甲斐があったと心底思う事ができました。

そういう意味では全ての登場人物とシチュエーションに感謝です。


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